IoP研究
IoP research研究体系・研究課題・研究者⼀覧
100人以上の研究者が課題解決を目指して
IoPプロジェクトのシステムを現場で利用するためには、植物の生理・生育データを蓄積、可視化し、農家が利用可能な状態に最適化を行い共有する仕組みが必要です。システムを実現するために、IoPプロジェクト研究推進部会が中心となり、課題や研究テーマごとにプロジェクトのチームを構えて研究開発を行います。
IoPプロジェクト研究推進部会長挨拶
研究で施設園芸農業を次世代型からNext次世代型へと進化させる
高知県の基幹産業である施設園芸農業を次世代型からNext次世代型へと進化させるミッションの中核を担うのがIoPプロジェクト研究推進部会です。施設園芸農業の飛躍的発展、施設園芸関連産業群の創出を実現するべく、高知県(公設試含)・高知大学・高知工科大学・高知県立大学・その他高等教育機関等から100名を超える研究者が参画し、大課題『生産システム・省力化技術』、『高付加価値化』、『流通システム・統合管理』のもと、AI・ICTを活用した植物生理生態のセンシングと営農支援技術の開発をはじめ、現在63課題(2019年12月時点)の基礎・応用・実証研究に取り組んでいます。
研究マネジメントにおいては、四半期ごとに研究進捗をチェックするとともに、全研究者がKPI達成に向けた定量的ロードマップを策定、これらを通じて新たな研究課題を追加するなど、トップダウンとボトムアップによるPDCA体制を構築しています。また、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と連携協定を結ぶとともに、今後、海外研究機関との連携も視野に入れ、さらなる研究力の強化と発展を目指していく所存です。
これまでに、出荷予測システムや農家間データ共有システムの開発等の研究成果が生まれています。今後も各分野で生まれた研究成果を農業現場に順次還元していき、実装と実証を重ねていきながら、施設園芸農業におけるイノベーションの実現に寄与してまいりたいと思います。
IoP研究の趣旨・目的
園芸農業生産性日本一を誇る高知県の施設園芸農業の地位を確固たるものとするため、全国に先駆けてオランダの最先端技術を取り入れて普及を開始した「次世代型施設園芸システム」を、多様な園芸作物の生理・生育情報のAIによる可視化と利活用を実現する「IoP(Internet of Plants)」等の最先端の研究により、「Next次世代型」として飛躍的に進化させます。
これにより、作物生産を決定づける光合成等の生理情報に基づく生育予測や営農管理等を可能とすることで、本県の施設園芸農業の「超高収量・高品質化」「超省力化・省エネルギー化」「高付加価値化」を促進し、若者が夢や希望を叶えることができる持続可能な産業として飛躍的な発展を図ります。
実施内容
- 1作物の様々な生理・生育を見える化し、ハウス内の環境データと合わせて、IoPによる栽培・生産管理の最適化を図り、さらなる収量増につなげる。
- 2品目毎、農作業行程毎の労働時間・農作業(技)の見える化によって次世代の担い手に対して篤農家技術の早期継承を実現する。
- 3温湿度管理、水管理、施肥・追肥等の自動化、定植や収穫作業等の機械化・ロボット化、さらに誘引、整枝剪定、芽・葉かき、摘果等、個人の技術差が大きい農作業の標準モデルを作成し、労働生産性を大幅に向上させる。
- 4特定の機能性成分等を強化した品種や栽培方法を確立する。
- 5出荷量や出荷時期等を正確に予測し、販売戦略に活用できる「出荷予測システム」を開発する。
- 6システム全体の最適化と安全かつ高速のネットワークインフラにより、「IoPクラウド」を構築し、Super四定(定時、定量、定品質、定価格)を実現する。
1~6の取り組みを実現するため、「生産システム」「省力化技術」「高付加価値化」「流通システム」「統合管理」の研究を推進する。
研究課題について
100人を超える研究者が、専門のプロジェクトチームをつくり様々な課題に向けた最先端の研究に取り組んでいます。研究課題は、プロジェクトや研究の進捗により統合などを繰り返し最適化を行っています。
生産システム・省力化
IoPの概念のもと、作物の生理生態情報の見える化などを図り、Next次世代型施設園芸農業の中核となりうる生産システムと省力化技術を研究・開発し、それらの成果を社会実装へつなげることを使命としています。
温室内外の様々なビッグデータの活用を通じて、光合成特性を加味した新しい栽培管理方法やAI/ICT/IoT技術を駆使した省力化・省エネルギー化技術を開発します。併せて、免疫学・生態学的視点に基づいた病虫害防除技術が新たに開発されるとともに、環境保全と付加価値創出の両立を目指したサスティナブル園芸農業を確立します。
⾼付加価値化
農産物に対して一般消費者のニーズや食産業を取り巻くあらゆる状況の変化に合った 付加価値を付け、幅広く望まれる農産物の生産と販売を可能にすることを目指します。常に品質、トレーサビリティ、用途提案ができる体制を敷き、農産物毎の需要が高められるマーケティングに帰する研究を行います。品質は、栄養素、美味しさや機能性成分について、高度な機器を使用した精密分析を行って管理します。それらの測定は、生産現場での簡易測定でも把握でき、測定値は、流通、卸、販売など、あらゆる場で照会できるシステムを構築できる研究を行っています。
流通システム・統合管理
本課題では、出荷予測、商流と物流の最適化、高度なトレーサビリティの実現、ならびに施設園芸データの収集・統合を目指します。具体的には、生産から流通・消費に関係する各種システムを研究開発を行なうとともに、生産から流通までの様々なデータを収集・分析し、有益な情報として生産者にフィードバックするためのデータ共有基盤「IoPクラウド」を構築することを目指します。
活用事例
IoPプロジェクトでは農業者、企業、研究者が新しい農業のカタチに向けて挑戦をしています。
具体的な活用事例から本プロジェクトの現在をご紹介します。