施設園芸農業やアグリフードビジネスを担う人材を育成する

IoP事業の研究が進んでも、研究成果を効果的に現場に実装していくためには、成果を理解し、活用できる人材が必要不可欠となります。施設園芸産業が盛んなこの高知県において、学生教育・社会人教育を通じた学びの機会を創出し、IoPやAIを活用した高知県Next次世代型施設園芸農業施策を下支えする専門人材を育成します。

 

 

人材育成部会長挨拶

岩崎 貢三
岩崎 貢三所属
高知大学
理事(教育担当)

人づくりを通じて地域産業の持続的な発展に寄与する

研究分野にあっては、高知県内外の高等教育機関や高知県、農研機構等がそれぞれの学術分野の強みを生かし、連携して研究を進めていますが、農学・情報学・健康栄養学といった分野を網羅的に理解する研究者が乏しいのが実情であり、今後、同分野を理解する学際的研究者や、新たなイノベーションを創出する若者の育成が重要な課題となっています。
人材育成部会においては、これらの課題に取り組むべく、高知大学、高知工科大学、高知県立大学の修士課程において、IoP連携プログラム(大学院連携プログラム)、学士課程においても、共通教育科目を新設し、研究と連携した専門人材育成を実施することとしております。また、社会人教育に関しても、植物生理の基礎、そもそも講座、実践のための基礎知識講座からなるIoP塾や、食品産業における企業等の研究開発力の強化を実現する土佐フードビジネスクリエーター(土佐FBC)Sコースの新設など、リカレント教育等の充実をはかり、施設園芸産業に関わる方々の知的好奇心と基礎知識の底上げを実現していきたいと考えております。
これら教育プログラムが、持続可能な地域振興の礎を築くとともに、プロジェクト成果を県内に効果的に実装していくうえでの一助となり、高知県地域産業の振興に繋がることを目指しています。

重点地域の選定

高知県Next次世代型施設園芸農業施策を下支えし、施設園芸生産日本一(単位面積当)のみならず、施設園芸人材日本一を目指していくために、高知県全域で人材育成を行います。
重点地域として、農業クラスターが形成されている地域を核として、高知県西部は四万十町(高知県農業担い手育成センター)、高知県中部は南国市(大学等)、高知県東部は安芸市(農業振興センター等)で学びの場を創出します。

※令和2年度(2020年)から、新型コロナウイルス感染対策として、主に社会人教育IoP塾はオンライン講義への転換をはかり、重点地域のみならず、高知県全域を対象として実施しています。

人材育成の重点地域

令和2年度(2020年)から、IoP塾はオンラインでの講義に転換:高知県全域を対象とする

育成ターゲット4分類化

施設園芸産業に関わる方々は多岐にわたります。人材育成部会では、学生はもちろんのこと、就農機関として、農業法人から家族経営までの就農者、支援機関として、企業等の研究開発や営業担当者、指導機関として、高知県の農業技術職員やJAの営農指導員等をターゲットに人材育成プログラムを展開していきます。

※また、令和3年度より、教育機関として、高知県立農業担い手育成センター、高知県立農業大学校、高知県内の農業高校にもプログラムを展開しています。

育成ターゲット4分類化の説明

学生教育

高知大学・高知工科大学・高知県立大学連携による教育プログラム

IoP連携プログラム(大学院特別プログラム)
令和2年度開講予定

高知大学、高知工科大学、高知県立大学の連携のもと、IoP連携プログラム(大学院特別プログラム)を構築し、IoPに関連する各大学専門分野(農学・情報学・健康栄養学)を学びます。


人材育成像
高知県内高等教育機関連携のもと、最先端施設園芸に関わる農学・情報学・健康栄養学の理論と技術を総合的に学び、Next次世代施設園芸産業の諸分野における、生産、技術開発、教育研究、普及指導等で活躍できるリーダー及び起業家を育成する。

IoP教育プログラム(高知の最先端農業~
IoP(Internet of Plants))令和2年度開講予定

高知大学、高知工科大学、高知県立大学の連携のもと、共通教育科目を新設、各専門領域の基礎を学ぶとともに、現地見学や作業体験を交えながら、生産技術や理論を学びます。


到達目標
Next次世代型施設園芸プロジェクトの概要、産学官連携による地域振興の意義と将来展望について理解し、プロジェクトへの強い関心と意欲を醸成する。

社会人教育

基礎的な知識から専門の知識まで施設園芸に必要なプログラムが学べます。

植物の生理を学び、彼らの不思議なストーリーを考え、次世代園芸の栽培・管理技術を身につける。

IoP塾

3人の講師による3つの講座。植物の生きる仕組みや植物生理の基本的知識、土佐の施設野菜の栽培・環境制御技術の基礎を分かりやすく学べます。

人材育成像
Next次世代施設園芸の基礎となる植物学を中心とした理科領域全般を広く学び、園芸産業を科学的に捉えて行動できる生産者、関連企業の技術開発・普及担当者、行政職員、起業家等を育成します。

講座について

  • 植物生理等の基礎講座
    作物生産のための植物生理入門

    講師:宮澤譲治
    高知大学IoP共創センター 特任助教
    専門:作物学
  • そもそも講座
    植物の生きる仕組の疑問となぞ解きをわかりやすく紹介

    講師:尾形凡生
    龍谷大学農学部教授
    専門:熱帯果樹園芸学、柑橘学、植物科学調節学
  • 実践のための基礎知識講座
    土佐の施設野菜の栽培・環境管理技術の基礎知識を紹介

    講師:前田幸二
    高知大学IoP共創センター 特任教授
    専門:施設園芸学
  • IoPデータ駆動型農業特別講座
    IoPとは?データサイエンスとは?データを活用した農業について紹介

    講師:北野雅治
    高知大学IoP共創センター長
    専門:農業気象学、生産環境調整学

土佐FBC(Sコース:研究開発人材育成コース)

高知県の食品産業に競争優位性をもたらす研究開発人材を育成するため、研究開発能力を高め、付加価値の高い事業の創出に繋げます。2年間で、事業戦略の策定からはじまり、研究開発計画、個別指導のもと研究開発をすすめます。

FBCの人材育成像
食品産業の研究開発を担い、食品産業を成長に導く産業人材を養成します。 養成人材は自ら商品開発や分析・管理等に取り組み、実践するスキルと考え方を身に付けていただきます。

受け入れ可能な研究テーマ例

  • ・高知県の伝統野菜の抗老化機能を調べたい
  • ・生鮮食品の栄養成分を分析し、栄養機能表示や栄養強調表示をつけ付加価値を高めたい
  • ・生鮮又は加工食品の機能成分を測定し、機能性表示をつけ付加価値を高めたい
  • ・加工食品に有効成分を一定量入れ、自らシステマティックレビューを行い、付加価値の高い機能性表示食品を創出したい