日本農業新聞連載「SAWACHI データ駆動型農業の夜明け」の取材③

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日本農業新聞の四国支局の企画により2023年2月から日本農業新聞の中四国版に計4回に渡り、IoPプロジェクトについて記事が連載されました。本記事は、黒潮町のキュウリ農家の中野さんへの取材をまとめたものです。

中野さんは、環境制御装置を導入し、IoPクラウドのSAWACHIと連携してハウス内の環境を確認できる体制を整えています。環境制御装置やSAWACHIのメリットや活用方法について記者から質問を受けられました。

環境制御装置やSAWACHIで管理がし易くなったポイントはありますか?

装置は、就農2年目の2022年の2月に導入しました。視覚的に確認できるので、管理がし易くなりました。SAWACHIでも色々確認できて、天気も確認出来るし、トータルでいいですね。就農して3年目ですが収量はだんだん右肩上がりで、今年はかなり調子が良くて、27、8トンいけるでしょうかね。現場から離れた外でも、携帯でハウス内の環境データが見れるので助かっています。夕方、温度を落としてハウスを閉めたい場合は、これまでは温度が下がるまで現場にいましたが、導入後は1回家に帰ってSAWACHIで温度を確認して、下がったらハウスに戻って閉めるのが日課になりました。

キュウリでは、SAWACHIの機能の中で、どれが大事だと感じていますか?

一番目は天気が分からないと外気温の管理が分からなくなるので、天気の時間帯予測があるのが重要ですね。天窓を開けて帰るか閉めて帰るかなどの判断もやりやすい。外気の湿度が分かるのも参考になるポイントです。

SAWACHIのデータをグループ共有しているそうですね。

30~40歳くらいまでの若い農家だけでつくったグループです。9人の共有グループで、他の人の管理が見える状態をつくって、みんな結構見てますね。SAWACHIは基本的には自分のデータしか見えませんが、参加者の同意が得られた場合、権限を開放してグループ内のメンバーのデータを見ることができます。栽培の上手い先輩の管理が見られるのは、すごくプラスになります。温度管理と湿度をよく見ています。温度は例えば何時まで高温に保つかなどが参考になり、穫れる人の管理と同じように温度管理をすることで収量があがります。

SAWACHIを確認するのは携帯ですか?

携帯です。作業日誌もつけていますが、データで見れた方が思い出しやすい。SAWACHIのメニューの中に詳細分析画面というのがあって細かくカスタマイズできます。加温機本体ににオンになった回数が表示されるのですが、SAWACHIだったら家でも確認できます。以前は、暖房機を夜に稼働しているときに、稼働状況はハウスに来て機械を見ないと確認できませんでしたが、スマホで見れるのはすごく便利です。病気も怖いから加温機を回しておかないといけない、でもずっと現場にいる訳にはいかない、夜の管理が、スマホでデータを見ながら出来るので助かります。

収量を数字で見られる良さというのはありますか?

すぐに分かるのはいいですね。農協への出荷量がすぐ分かります。経営の知りたいところが全て分かる。管理や量などについて感覚と数字を比べるためにも、すぐ反映されるというのは便利です。出荷量データは、SAWACHI上では、ほぼ2日遅れくらいでデータが反映されています。これくらいの時差ならば、すぐ把握できるので収量が上がらないのは何が原因なのか、今は仕方ないのか、先輩の様子も聞きにも行けます。
皆が穫れていないのなら仕方ないなと納得も出来ますが、自分だけの原因で穫れていなかったら何か改善していかないと、気づかないまま栽培状況を変えずに居るわけにはいきません。他人と比べることができ、数字とグラフがあるので何がいけないかすぐ判断がつきます。

新規就農した人がいた場合、環境制御装置や新しい機器の導入を勧めますか?

僕は修行中は旧式で全部手でやってきたんですが、その経験から言うと入れた方が絶対にいいです。これから僕の下の世代は、機器を入れないとやりたくないという感覚が備わっていると思います。今は何もかも値段が上がっていますし一気に導入は難しいでしょうし、投資なので僕も躊躇はあったのですが、絶対入れた方が良いです。時間をお金で買ったらいいと言います。なんでもお金で買えばいいわけではないけれど、やはりかん水などについては、自分で行う作業時間と比べて短縮できるので、利用するのが良いと思います。

SAWACHIユーザーの間でも、データのグループ共有の取り組みはまだまだ少数です。中野さんは自身の栽培を先輩と比べ貪欲に学ばれて、収量はどんどん増えています。グループ共有の威力に今後も期待しています。