きゅうりきゅうり

(ウリ科キュウリ属)

生物種の英名
Cucumber
学名
Cucumis sativus
原産地
インド

旬は夏ですが、現在は、年中出回っているため、日々の食卓で馴染みの野菜です。きゅうりは水分が95%以上含まれるため、そのみずみずしさと独特の触感を楽しむ生食が好まれますが、和、洋、中と様々な調理に活用できる野菜です。

きゅうり

一次機能栄養

野菜の成分を見てみると…
野菜にはいろいろな栄養成分が含まれています!

文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から引用

注目成分は、カリウムとビタミンC

カリウムには体内の過剰な塩分(ナトリウム)を排泄し、高血圧予防やむくみ解消の効果があることがわかっています。また、ビタミンCはたくさん摂取しても体に蓄えられません。いろいろな調理に活用できるきゅうりを食べて、こまめにビタミンCを補給しましょう・・。

トピック

きゅうりは『最も熱量(カロリー)が低い果実:Least calorific fruit』としてギネス世界記録に登録されています。(14kcal/100gです)。

調理のポイント

きゅうりは脂溶性のβ-カロテンを含んでおり、軽く炒めればその吸収率がアップします。カリウムの溶出を防ぐために、片栗粉のとろみで閉じ込めるのも一つの方法です。

二次機能美味しさ

きゅうりの注目部分

「みずみずしさ」
「歯ごたえ」
「食感のよさ(ポリポリ)」
「やわらかな色合い」
「盛り付けのアクセントになる切り口」
「控えめな青臭さ」

新鮮なきゅうりの見分け方

全体的に太さが均一のもの、重量感があるもの、表面のイボが尖っているもの、両端が瑞々しくてかたいものが新鮮なきゅうりです。



咀嚼・食感

きゅうりは多くの水分を含むと同時に、その食感の良さで、サラダの材料としてよく使われる野菜です。食べやすさや噛みやすさ等の触感はおいしさに影響するので、年齢や体調に合わせた切り方を工夫すると、よりおいしく食べることが出来ます。

  • 神山かおる (2005) 多点計測による食品テクスチャーの評価. 食科工, 52(2), 45-51.
  • 神山かおる (2003) 食品・栄養学における咀嚼研究. 日本咀嚼学会, 13(2), 49-57.

きゅうりの甘み

きゅうりの甘みはきゅうりに含まれるグルコースとフルクトースの量に左右されます。グルコースとフルクトースの量は同じハウスで栽培・収穫されたものでも違いがあり、収穫日前の天候(日照時間)や遮光処理の影響によって変動することが明らかになっています。

  • 堀江秀樹 (2011) キュウリ果実中の糖含量の日ごとの変動と血糖センサーの品質評価への利用. 園学研, 10(1), 109-113.

きゅうりの渋み

きゅうりを食べたときにわずかに感じる渋みはギ酸によるものと推察されています。淡白な味の印象があるきゅうりですが、じっくり味わうと硬質な果皮の食感と果肉部・種子部との調和、果皮に含まれる苦み・渋み成分、香気成分などがわかります。

  • 金子真紀子ほか (2013) キュウリに含まれるギ酸の部位別分析と味覚特性. 日本栄養・食糧学会誌, 66(5), 255-259.

貯蔵による栄養分の変化

野菜は収穫後も呼吸や代謝が続くため、貯蔵条件によって品質が変化します。収穫当日と7日後のきゅうりを比較する官能検査では、より新鮮なものの方が味として良いという結果が出ました。また、きゅうりを5℃と10℃で貯蔵すると、グルコース・フルクトース、リンゴ酸、アスコルビン酸は減少、クエン酸は増加、また、総遊離アミノ酸は5℃貯蔵では増加、10℃貯蔵では減少すると報告されています。

  • 中町敦子ほか (2002) キュウリ呈味成分の分布と貯蔵変化および味との関係. 日本調理科学会誌,35(3), 234-241

三次機能機能性

機能性 注目物質・概要・参考文献
  • 抗酸化性
植物性乳酸菌による発酵や味噌、醤油などの調味料および糠などによる浸漬工程を経ることにより、野菜自身が持つ抗酸化力以上の機能性を発揮します。特に、すんき漬や糠の古漬、味噌漬は高い抗酸化力を示すことが明らかになっています。
  • 小松あき子ほか (2011) 漬物の抗酸化性及び品質に及ぼす調製条件の影響. 日本調理科学会誌, 44(2), 128-136.
  • ACE阻害活性
血圧の抑制に有効とされるメカニズムにACE阻害活性があります。多くの植物性食品はこの活性に働く物質(ニコチアナミン)を持っています。下記の研究では、イネ科の植物を除く多くの野菜で 60%以上の強い ACE 阻害が明らかになりました。きゅうりでは91%の阻害活性が示されています。
  • 伊澤華子ほか (2012) 植物性食品のニコチアナミン含量と アンジオテンシンⅠ 変換酵素阻害活性. 食科工, 59(7), 348-353.
  • 抗炎症作用
きゅうりには、古くからさまざまな健康効果があるとされてきました(炎症を抑える働き。消化を助ける働き等)。また、細胞内の水分量を高めるとともに、抗炎症や抗エイジングなどのスキンケア効果も認められています。
  • Murad, H. et al (2016) Evaluating the potential benefits of cucumbers for improved health and skin care. J Aging Res.Clin.Practice, 5(3), 139-141.

*野菜の表記について
このページでは野菜名はひらがな表記、品種名はカタカナ表記としています。また、論文に関係する部分は、論文中で使われている表記にしています。