みょうがみょうが

(ショウガ科ショウガ属)

生物種の英名
Japanese ginger,
"Myoga"
学名
Zingiber mioga
原産地
東アジア

高知県が代表的な産出地であるみょうがは、口の中いっぱいにひろがるさわやかな香りとわずかに感じる辛みが特徴の香味野菜です。夏と秋に旬がありますが、高知県では年中栽培されており、全国の出荷量の90%以上を占めています。みょうがは水分と栄養を蓄えており、夏の食欲増進のための料理にもおすすめです。

みょうが

一次機能栄養

野菜の成分を見てみると…
野菜にはいろいろな栄養成分が含まれています!

文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から引用

注目成分は、『カリウム』と『α‐ピネン』

カリウムには体内の過剰な塩分(ナトリウム)を排泄してくれる働きがあるため、むくみを解消する効果があります。『α‐ピネン』は特定の植物に含まれる珍しい栄養素で、みょうがの香り成分です。眠気を払って頭をすっきりさせる効果や、発汗と利尿作用、血液の循環を促進する働きなどがあります。

トピック

ショウガ科の多年草であるみょうがは、日本では北海道から沖縄まで広い地域に自生しており、主に食用として好まれています。中国や韓国でも栽培されており、中国では古くから咳やリウマチなどの漢方薬として使われています。

  • 阿部雅子 (2019) ミョウガの辛味関連化合物に関する研究. 日本調理科学会誌, 52(1), 1-7.

二次機能美味しさ

みょうがの注目部分

「シャキシャキとした歯ごたえ」
「さわやかな香り」
「みずみずしさ」

新鮮なみょうがの見分け方

身が固く先が開きすぎていないものが新鮮です。また、表面にツヤがあり色の鮮やかなもの、また重量感のあるものを選びましょう。

保存方法

みょうがは保存しても栄養成分が変化しない食材です。乾燥を防ぐためにジッパー付きの袋などに入れ、冷蔵庫で保管すると1か月程保存できます。



調理のポイント

薬味として食べることが多いみょうがは、生で食べるため、下ごしらえが重要です。みょうがにはアクがあるため、スライスしたあと30秒ほど水にさらして、しっかりと水気をふき取るとより美味しくなります。さらしすぎると、香りが落ちて風味が悪くなります。

みょうがは切り方で食感が変ってきます。ほかの食材と混ぜ合わせたり和えたりする場合には、繊維を断ち切るように輪切りにします。シャキシャキした食感を楽しむ時や、薬味として食べる場合には、繊維に沿って千切りにしましょう。


みょうがの味、香りの成分

みょうがは特有の味と香りを持っています。呈味成分としては、グルタミン酸、セリン、グリシンなどのアミノ酸、フルクトース、マルトース、グルコースなどの糖、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸などの有機酸があり、辛味成分としては、ミョウガジアール、ミョウガナールが含まれています。また、特有の芳香成分としては、2-イソプロパノール-3-メトキシピラジン、2-sec-ブチル-3-メトキシピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジンなどの物質が報告されており、色素成分としては、マルビジン3-ルチノシド等のアントシアニンが含まれていることがわかっています。

  • 阿部雅子 (2019) ミョウガの辛味関連化合物に関する研究. 日本調理科学会誌, 52(1), 1-7.

三次機能機能性

(ミョウガ抽出物を使って細胞実験、動物実験を行った文献をご紹介)

機能性 注目物質・概要・参考文献
  • 抗アレルギー作用:オボアルブミン感作に誘発されたアレルギー性喘息の緩和
マウス細胞、あるいはマウスを用いた実験により、ミョウガ抽出物の投与がオボアルブミン感作に誘発されたアレルギー性喘息の緩和に役立つことが報告されています。これはミョウガ抽出物により誘導型一酸化窒素合成酵素 (iNOS) の発現が抑制されることが関係しており、同時に炎症性サイトカインやNOの減少も確認されています。
  • Shin, N. et al (2015) Zingiber mioga (Thunb.) Roscoe attenuates allergic asthma induced by ovalbumin challenge. Mol Med Rep, 12, 4538-4545.
  • 抗肥満作用:体重増加、
    インシュリン抵抗性、肝糖新生の低下作用
食餌性肥満マウス(高脂肪食を摂取させて肥満を誘発したマウス)の餌にミョウガ水抽出物を0.5%混ぜて摂取させた場合に、体重、血中トリグリセリド、血中コレステロールが低下することが報告されています。加えて、インシュリン抵抗性の改善や肝臓での糖新生の改善も明らかになっています。さらには、脂肪肝の改善も認められ、みょうがの抗肥満作用の有用性も証明されています。
  • Lee, D. et al (2016) Zingiber mioga reduces weight gain, insulin resistance and hepatic gluconeogenesis in diet-induced obese mice. Exp Ther Med, 12(1), 369–376.
  • 記憶力改善作用
ミョウガ熱水抽出物の神経成長因子 (NGF) を介した記憶力改善作用が報告されています。NGFは神経細胞の分化、増殖、維持に重要な役割を果たしており、シナプスの形成やシナプス間の情報伝達を促進することで記憶形成や学習に関連しています。また、細胞実験と動物実験 (マウス) において、ミョウガ熱水抽出物を投与した場合、NGF量の増加が認められています。さらには、記憶力を評価する行動実験においても、ミョウガ熱水抽出物投与時の改善効果が報告されています。
  • Kim, H. et al (2016) Effects of Myoga on Memory and Synaptic Plasticity by Regulating Nerve Growth Factor-Mediated Signaling. Phytother Res, 30(2), 208-13.

*野菜の表記について
このページでは野菜名はひらがな表記、品種名はカタカナ表記としています。また、論文に関係する部分は、論文中で使われている表記にしています。