活用事例

Vol.13

経験と生育状態をもとに、日々のデータを活用する

南国市 シシトウ農家

山本修平さん

農家

農業を始めた経緯や環境制御装置の導入した理由は?

安定した収量を目指すために必要な装置でした。

元々祖父がシシトウ栽培をしており、いの町の農業大学校に通った後、就農しました。最初は手伝いから始めて、5年目くらいから自分でハウスを管理しています。はじめたころは、環境制御装置などはなくアナログの環境でやっていました。環境制御装置を導入したのは、2016年頃、省力化が目的でした。水やりや天窓の開け閉めなど、自動制御により農作業の時間に余裕が生まれ、作物の栽培管理に専念でき、人も雇いやすい環境になりました。日々の木の状態や窓の開け閉めなど、今まで体感でやってきたことを自動化しました。機器の調節も体感を大事にしつつ、数字だけに頼るのではなく、これまでの経験も取り入れています。目に見えない部分、生育状況(樹の強さ弱さ、樹のバランス、花と実のバランス、葉面積の状態)を考えて、栽培管理をしています。


環境制御装置のメリットや活用について教えて下さい。

遠隔でハウス内がわかる!夜に心配でも、ひと目で安心出来ます。

家にいながら手軽にスマホを使ってハウスの環境を確認できます。夕方や夜間などの数値の動きの確認や細かい調整ができるので助かっています。導入初期のころは警報メールが届いていました。温度がある一定下がると届くようにしてましたが、温度設定の変更や加温機の掃除後にスイッチを入れ忘れたなど、ミスがあったことが分かりました。今は、夜寝る前に確認することで、安心材料にしています。また、夜間、春や秋など夜温が高いときの病気などのリスク回避のため、湿度の動きなどを見るようにしています。
ハウスは、温度を天窓の開度で制御して、水は日射比例潅水装置で日射に応じて自動でかん水します。季節でかん水量は変わりますのでその設定が難しく、これも経験値が必要です。基準のかん水量はあるのですが、勉強会などの植物生理の資料に1反あたりのかん水量の目安があるので、それも参考にして自分のハウスに合うように設定しています。長年、天気や時期のせいだけにしていたものが、データを確認することで細かな管理ができるようになり、段々と収量が多くなりました。


SAWACHIの機能の中でおすすめを教えてください。

目標設定することで、年間を通してのモチベーションに繋がります。

自分の収量の目標値を月別に設定できます。収量や出荷量が自動的にSAWACHIに反映されるので、高い目標を設定することで、自分の順位や達成度合いがモチベーションになっています。ただ、温度や湿度を管理したとしても、樹の生育状態に合わせてコントロールする必要があります。目標を掲げて、年間を通して前半の収穫量を増やすことで、安定した経営が目指せます。後半は、管理次第ですので、前半に収量が高くなる樹にしておくことで、年間通して取れるということになります。
また、SAWACHIでは、日射量、温度、湿度、CO2濃度に加えて、かん水量もわかればいいなと思います。シシトウ栽培の初期段階は、ハウスを開放しているため暑く環境制御が難しいです。唯一、制御できることが、かん水量だからです。


環境制御装置を使うときに大事にすることや、今後の農業について期待していることを教えてください。

データや機械を活用するためにも、技術の向上は欠かせません。

やはり基礎となる栽培管理技術が一番大事だと思います。データはそれを良くするための1つの要素であって、いくら機器を使っても、設定する能力がなければ使いこなせません。判断力を養うために勉強会への参加や各メーカーからの情報収集、植物生理学を学ぶことも大切です。就農される方が、データに基づいた栽培管理を行うと、技術習得が早くなります。指導員も、指導力アップのためにSAWACHI情報を有効に活用して、現地指導に生かして欲しいです。
また、30年先もシシトウ栽培を続けていくと、新しいハウスの建築も必要になってきますし、燃油の問題もあり省エネ化を進めて行く必要があります。期待していることは、もっと画期的な省エネの機械です。化石燃料に頼らないSDGsにも繋がる環境に配慮したオール電化のハウスができたらいいですね。

まだハウス内の環境しか見えないので、今の生育環境が正解なのか判断する能力が必要になります。大切なのは、樹を見る力です。生育状態を見て今の温度、湿度が正解なのか判断することしかできません。今は収穫量という結果でしか見られないので、樹の生理状態を開花や着果などを見てどのくらい収穫できるかを判断する。そういう仕組みや画像解析をAIが行う方向に今後進んでいくと思います。