活用事例

Vol.10

環境データを応用し自分だけの農業を

四万十町 みょうが農家

岡部鉄平さん

農家

環境制御装置を導入した理由を教えてください。

最新の設備を自分のハウスで試してみたいと思ったからです。

私はもともと高知市内で会社員をしていましたが、4年前に実家農業を継ぐことを決め、興津へと帰ってきました。また、当初から自分のハウスで農業をしたいという気持ちが強く、ハウス建設に向けて動いていました。そんな時、JAの営農指導員さんから環境制御装置の機能や、導入における補助金などの話をしていただく機会がありました。今の農業の現状や、これからはじまる自分の農業を考えると、得られるメリットも大きく、また今後、様々なことに応用していける将来性を感じ、これを機会に、自分のハウスでも可能なかぎり取り入れてみようと思ったのがきっかけです。


導入段階では、どんなことを考えていましたか?

できるだけ自分の感覚での使用感を知りたいという気持ちがありました。

ネットなどで調べれば、すぐに設備の機能や効果を知ることができますが、私の場合は「自分のハウスではどう使っていけるだろうか?」ということを常に意識していました。実際、そういった試験的な興味からフルスペックでの導入を希望し、最初の1〜2年ではそれぞれの設備の使用感や効果を記録し、得られたデータを裏付けに、自分なりの運用方法などを試案する時期が続きました。算出された各種数値から遮光カーテンを閉めるタイミング、CO2濃度の推移から植物の状態を把握するなど、自分のハウスにおける最適な環境の作り方を、少しずつ見つけて行きました。


実際、環境制御装置やSAWACHIの機能は農業のどのような部分に影響を与えていますか?

私の農業においては主に「栽培管理」の部分で大きく役立っています。

現在は日々の農業のあらゆる部分で大なり小なり影響を受けていますが、一番大きく変化したのは栽培管理だと思います。例としては、私が現在栽培している養液栽培のミョウガは非常にデリケートな温度管理が必要とされる農作物のひとつです。そのため、いままでは夜中に電照がちゃんとついているどうかを確認しに何度も圃場に出向く必要がありました。しかし圃場内外の温度データをリアルタイムで確認できるSAWACHIの機能や、ハウス内のカメラ機能が登場したことで、作業時間が大幅に短縮され、これまでは1日の作業時間の関係でできなかったことを実践したり、他の農作業に力を入れる時間の余裕が生まれました。


新規就農者がデジタル農業を導入するうえで、大切なことはなんだと思いますか?

まずは使えるようになること、そして応用していくことだと思っています。

環境制御装置をはじめ、ハウス環境と連動したクラウドサービスなどは性能もサポート機能もどんどん進化していて、新規就農者にとっては経験の溝を埋めてくれる頼れるパートナーだと思います。また、今まで人の目では見えなかったものが、詳細なデータとして表示され、加えてアナログな点のデータではなく、この時間にはこうだったという線のデータとして表示されます。私はこういったデータを「理解し、応用できるか」ということが、今後の新規就農者にとって大きな課題になっていくと感じています。機能が充実していくことは嬉しいことですが、SAWACHIでの活用事例の紹介や、各種研修など、利用者をサポートする機能なども一緒に充実していってほしいと思っています。