活用事例

Vol.17

日照コントロール式潅水制御機や農業関連資材の農機具メーカー株式会社SUN電装様。誰でも使いやすい環境測定装置を目指してIoPプロジェクトに参画し、製品の開発を行っています。開発におけるコンセプトや製品の特徴などを伺いました。

農家ファーストにこだわる理由がある

株式会社SUN電装 営業部長

竹森勝利さん

企業

IoPプロジェクトに参加されたきっかけを教えてください

IoPを農家さんがやってみようと思える仕組みづくりが必要だと感じたからです。

農機具メーカーである当社では、地元春野の農家さんや、デジタル農業を推進してきたJAくろしおさんとのお付き合いも多く、その中で、現場を担う農家さんの中には「機械を触ることに抵抗がある方」や「複数の機能を使いきれない方」が一定数存在し、現状の段階では、まだまだデジタル農業に対する現場の理解が追いついていないということ知らされました。そこで、機械が苦手な農家さんでも「やってみよう」と感じることができ、また同時にIoPプロジェクトの振興にも繋がるひとつツールとして、農家さんファーストな環境制御装置をデザインすることで、課題解決の一役を担いたいと思い参加させていただきました。


IoPプロジェクトで取り組んでいることを教えてください

環境測定装置「ひろみくん」の開発を進めています

現在、当社が開発を進めている「ひろみくん」は、現場からのより機能的な測定装置の開発要望に基づき、農家さんが必要な環境データを計測する装置です。開発の根幹にあるのは、農家さんにまずは慣れてもらいたいという気持ち、そして、表示される数値がなんなのか?どんな機器が必要なのか?という発想につながるような、ひとつのきっかけづくりです。「触りやすい」「見やすい」「理解しやすい」の3つをコンセプトに、農家さんへの伝え方ではなく、伝わり方にこだわった開発を進めています。


「ひろみくん」の特徴と、農家さん側のメリットを教えてください

使いやすく・安価に導入できる環境測定装置で、それぞれの課題解決につなげます

①機械が苦手な方でも利用できるインターフェースの採用
既存メーカーに少ない一体型(タッチパネル)を採用しており、画面も大きく操作が簡単です。また、画面に表示する項目数も最低限のものとしており、配色や文字のサイズなどにもこだわることで、機械や数字が苦手という方でも利用しやすくなっています。また、ハウス内にそのまま設置できるので、制御室を必要としないのも特徴です。

②より安価でランニングコストも低額な測定装置へ
「Made in Kochi」をスローガンとし、より安価でランニングコストも低額な測定装置として、高知県より全国へ発信していきたいと考えています。


今後の目標と見通しと教えてください

通信環境の悪い地域・露地での利用の実現に向け、準備を進めています

JAくろしお様から測定器に関する要望や指導をいただき、高知工業高等専門学校(今井名誉教授)から技術指導及び通信に関する協力を得ながら、通信環境(LoRa)により分散した園芸施設のデータを集約する準備を進めています。将来的には、令和3年に打ち上げた、高専衛生「KOSEN-1」、令和4年打ち上げ予定の高専衛生「KOSEN-2」の衛生通信(LoRa)を利用し、山間部等の通信環境が悪い農場でも、リアルタイムで正確な測定値のデータ化が実現できる予定です。本製品が、農家さんがIoPをはじめるきっかけとなり、ひとつの普及モデルとして広がっていけるよう、精一杯努めてまいります。


編集後記:高知県 農業イノベーション推進課 IoP推進室

今回は、株式会社SUN電装様の機器等高度化支援事業*でのお取り組みを取材させていただきました。現場の農家さんとお付き合いの深い会社さんならではの徹底したユーザー目線と全国に先駆けてデータ駆動型農業を推進されている土佐くろしお農協さんの知見が 存分に取り入れられた環境測定装置を開発されています。将来的には全国展開も目指されているということで、IoPクラウドともしっかりと連携させていただければと考えております。

*高知県施設園芸関連機器等高度化緊急支援事業 新型コロナウイルス感染症により、県の施設園芸が大きな影響を受けている状況を鑑み、施設園芸関連機器等の高度化を促進し、県の施設園芸の更なる発展につなげる取組に必要となる経費の一部支援を目的とする事業。
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/160601/2021041200264.html