活用事例

Vol.05

IoPクラウドでは、農家さんのハウス内の環境データが必要不可欠です。施設園芸を行うハウスの温度や湿度の変化を把握し、営農に活かすことで生産性が向上します。長年、環境センサー機器の開発を行い、高知県下の農家さんに環境制御装置を導入している株式会社ニッポー様に、製品開発のこだわりやクラウドとの連携についてお話を伺いました。

生産者の声を聞き、アイデアを具現化する

株式会社ニッポー 商品開発

杠明彦さん


高知県loPプロジェクトに参加されたきっかけは何でしょうか?

全国に先駆けて動き出した高知県に、メーカーとして強く共感しました

昨今、農業の生産性向上がますます求められるようになり、とくにビニールハウスを用いた作物栽培におきましては、全国的に収量の拡大、品質の向上のニーズが高まっています。そんな折、施設園芸に特化した高知県が「loPプロジェクト」を立ち上げられ、全国に先駆けて大きな改革に挑戦されていることは、本当に素睛らしいことだと思います。
これまで50年以上に渡り「温度や湿度をコントロールする電子制御機器」の開発・製造・販売を行ってきた私たちメーカーとしましても、是非これまで培ってきたノウハウを高知県と共有し、環境制御技術の導入促進、環境データの見える化の実現を目指していきたいと思い、参加させていただきました。


IoPプロジェクトで取り組むことは?

廉価帯換気装置の通信接続改良と IoPクラウドへのデータ連携

現在、農家さんが環境データを確認するためには、装置が設置された圃場に出向く必要があり、また、営農指導員のような第三者と共有するにも、その環境データの受け渡しを行う必要があります。
ですが、loPクラウドとの連携が強化されていくことで、将来、様々な人々が、様々な場所で、これらの環境データを「見る」ことができるようになり、安定した農業が可能になるでしょう。そのため、私たちメーカーでは、loPプロジェクトの促進に繋がる製品やサービスの開発を進めています。
弊社におきましては、平成27年に上市しておりました「ハウスナビ」というハイエンドな統合環境制御装置をもとに、最小限の機能とクラウド接続機能を有した「換気 NAVI Ⅱ(仮称)」の開発が進行中です。
また、こちらの製品から弊社の「アイファームクラウド」にて環境データを蓄積・表示できるアプリケーションの開発にも取り組んでいます。

【新製品導入時のメリット】
①安価な統合環境制御装置をリリースすることで、環境制御装置の導入の課題であった価格面の問題を緩和できる。
②クラウドサービスの利用により環境データの取得・共有が容易になり、農業を取り巻くサービスのレスポンスが向上。品質や収量の安定に繋がる。
③アイファームクラウドを通じて、農家さんにデータの見える化による各種恩恵を体感していただき、loPプロジェクトを促進する。


開発へのこだわりを教えてください

ユーザーの要望をODM開発で培った設計ノウハウで実現すること!

弊社ではこれまで、 一般的なOEM(お客様のオリジナル商品を受託製造)ではなく、 製品の設計から製品開発まで行うODM開発を提供してきました。 今回の「換気NAVI Ⅱ(仮称)」におきましても、 一番大切にしているのはユーザーさまの声です。 現場を担当する営業スタッフが、 高知県の農家さんに直接行ったインタビューなどから改めて仕様を作成し、ただ廉価にするのではなく、先行するハウスナビ等で実績を残したセンサーや通信技術をはじめ、新たな技術なども採用することで、広くニーズに応じていきたいと思っています。
また、デザイン面などでも、あえてダイヤル式の操作を採用するなど、高齢の農家さんにも分かりやすい形を目指しています。


設計や通信面ではどのような技術を採用されていますか?

配信やデータ連携に適した設計モデルと、セキュアな通信方法を採用しています

今後、増え続けていくWebサイトやマルチデバイスに効率よくコンテンツを配信していくために、 REST(REpresentational State Transfer)というWebサービスの設計モデルを新たに採用しました。
また、 アイファームクラウドでは農事用機器とサーバー間ではMQTTプロトコルを採用しています。 通信にはSSL/TLSを用いた暗号化通信を行うことで、 通信データの盗み見や改窟を防いでいます。


今後の見通しについて教えてください

「換気NAVI Ⅱ(仮称)」とアプリケーションの仕様を作成し、 開発・試験を行っていきます

「換気NAVI Ⅱ(仮称)」のアイファームクラウド対応については、遅くとも令和3年度には上市の見込みです。上市後にはアイファームクラウドにてデータ共有等の機能が利用可能になるので、農家さんには「農業の見える化」による様々な恩恵や変化を体感していただけると思います。
アイファームクラウドではCSVアップロード/ダウンロード機能をはじめ、WebAPIにより外部へのデータ提供機能の実装が可能であるため、都度端末側の設定やソフトウェア変更をする事無く、教育研究機関へのデータ接続なども可能になる見込みです。

【「換気NAVI Ⅱ(仮称)」の開発】
令和3年9月を目処に仕様を作成。ハードウェア、ソフトウェア、クラウド対応等の開発・試験を行い、設計の妥当性を確認しましたら製作に入る予定です。その後は、高知県内での稼働試験、社内評価を経て量産化を進めていきます。
※量産時期は令和4年3月以降の見込み

【アイファームクラウドでのデータ蓄積・表示などのアプリケーション開発】
令和3年2月から弊社•島根工場にて仕様作成を行い、仕様を基に協力会社において開発・実装及びクラウドへの適用、試験、運用開始を進めていきます。
※完成は令和4年2月頃の見込み


編集後記:高知県 農業イノベーション推進課 IoP推進室

今回は、株式会社ニッポー様のお取り組みを取材させていただきました。
ニッポー様では、開発済みの「換気NAVI」に通信手段を付加する改良開発を実施していただいております。これにより、ハウス外から農家自身はもとよりJA等の営農指導者とデータ共有や、農家間のデータ比較が実現するものと期待されます。
高知県が目指しているデータ駆動型農業の普及に向け、引き続き連携させていただければと考えております。