IoTの知識を実践形式で学ぶエンジニア養成講座開催

トピックス

23人がプログラムやデバイス開発を体験

8月20日、21日に高知県IoP技術者コミュニティの講習会SAWACHI エンジニア養成講座『マイコンの組み立て・データ蓄積・グラフアプリ開発を体験』が高知県農業技術センターで開催されました。コロナの状況を鑑みて、オンラインとオフラインでの実施となりました。

IoP技術者コミュニティでは、IoPプロジェクトが進めるIoPクラウドの取り組みを拡げるために、技術習得や製品連携による新たな価値に繋げる活動をしています。

当日の講義は、ソフトウェア側のシステムの構築技術を学ぶフルスタックエンジニアコースとIoPクラウドと連携する機器の製作に取り組むIoPデバイス開発の2コースが開かれました。

参加者は、23人。ソフトウェア、農業機械、電子機器など様々な業界に従事する方が、「IoTについて学びを深めたい」「技術を向上させたい」「自社事業で今後IoPを利用した製品開発するため」などそれぞれが目標をもって参加されました。

1日目 1時限目:IoTを知る、試行錯誤で自分らしいデータ設計

1日目は、各コース共通で行われ、温湿度データを計測&蓄積するデバイスを製作し、SAWACHIを経由したデータを取得しグラフ表示を目指しました。

まず、IoTの座学からスタート。データ取得による仕事の変化として現実世界のデータ計測、デジタルツインの仮想空間上で行うシミュレーション予測などの新しいサービスなどについて学び、意思決定や行動を起こすことができるデータの見える化の価値を改めて認識しました。デバイスに関する講義では、通信手段が多岐にわたるため、機器設計について、既存機械への設置か、本体からの電源供給は可能か、など設置場所に適した電源や通信を選定する際のポイントとその重要性が語られました。講義の終わりには「取得したデータそのままでは価値がなく、整理して情報に変えることが重要。情報をグラフにすることで、変化や量がわかり、分析や考察により意思決定ができる目的解決のためのデータになる。小さく・早く・正しく失敗して次へ進むためには、『DIY的な着想・発想で、手触り感を大切に』『試行錯誤を積み重ねながら』『自分達らしい最適解を目指す』ことが大切になる」と締めくくりました。

1日目 2時限目:温湿度デバイス機器を組み立てる

講義は、部品の紹介からはじまり、マイクロコントローラー、高精度温湿度センサやLED、ジャンパー線、電子回路試作基板のブレッドボートなどの説明を受けたあと、マイコンを使用したLED点灯を目指して、部品を組み立てていきました。はんだ付けを実際に行い電池ボックスと基板に抵抗をつなげ、LEDの点灯を確かめたあと、データを取得するためマイコンと温湿度センサ結線をつないでデバイスの準備を行いました。

次に、SAWACHIのデバイスAPIを使用するために必要なプロトコルや通信環境の情報を確認し設定を行いました。その後、SAWACHIにログインし、データ可視化ができる詳細分析画面で、制作したデバイスの温湿度センサが計測したデータが正しく反映されるかをグラフ表示で確認し1日目が終了しました。

2日目:1日目の学びを試行錯誤で応用して実践する

2日目は、エンジニアコースとデバイス開発コースに分かれて開催されました。

エンジニアコース

フルスタックエンジニアコースでは、グラフアプリの作成を目指しました。

まず、SAWACHIのソフトウェア開発APIとデバイス開発APIや提供するデータモデルについての説明がありました。データのモデル化として、高知県下を分野別に分けており、生産者属性、青果物市況、出荷、気象、圃場環境などの情報を立体的に活用出来ること、データの利用者毎にアクセス範囲の設定が可能であることを学びました。

SAWACHIは、認証認可という仕組みを導入、セキュリティに関わる設定が必要となるため、認証や認可のリクエストをして環境を整えた後、データダウンロードのためのソフトウェアのインストールなどを行い、データの取得機能を構築しました。

最後に、グラフ化機能とデータ取得機能の2つの機能を結合し、稼働テストを行い、グラフアプリを完成させました。完成したアプリを利用し、テストデータを使ってコードや数字を変更し自由にグラフのカスタマイズを行い、学びを深めました。

デバイス開発コース

デバイス開発コースは、換気による温湿度の変化を観測するデバイス製作を目指しました。1日目で製作した温湿度計測デバイスに換気扇用DCファンや扉開閉感知用ドアスイッチセンサを用いて、室内やビニールハウスを想定したダンボールBOXに配置しました。次に、1日目で製作したプログラムを改良し、ドアの開閉によるファンのON/OFF制御を可能にしました。

次に、箱の設計図を描き、ダンボール箱を加工し、オリジナルのBOXの中に配置し組み立てました。完成品は、扉が閉まっている状態から、開いた状態になった時にファンが回転、箱の中の空気が外に排出し、温度や湿度の変化を画面のグラフと箱の状態を比較。

その後、ドライヤーで箱の中に温かい空気を送り込んだ場合の温湿度の変化確認や、応用としてLEDランプを利用して扉の開閉に合わせて点灯する機器の仕様変更を行い、デバイス機器の製作について体験しました。

講義終了後に、2日間一緒に学んだ参加者や講師との意見交換の時間として名刺交換の時間を設け、意見や感想を交わしました。

その後、運営事務局で講師を務めたプロンプト・Kの方や高知県の担当者から2日間の講義の感想や今後の技術者コミュニティについての予定や目標が語られ終了しました。

参加者アンケートより

・将来的に同じ内容で再度実施の機会があれば、社内のメンバーに紹介したいです。

・専門の方と会話できる知識を得たかたったので、アプリは難しかったが、今回と同様レベルでの実施を期待

・一日目のハンダ付けからデバイスAPIを通じての連携は、IoTの基礎の仕組みをよく理解できました。ソフトウエアAPI側についても、KeyCloakを使用した認証の仕組みや、APIでの通信手順などよくわかりました。今後のSAWACHIの構築や運用に当たっての技術的な理解が深まり受講して良かったと思います。次回もとても楽しみにしています!

・参加目的として、技術を身につけることもあると思いますが、人や企業のネットワークを拡げる点もあると思います。互いに教えあう時間や一緒に考える時間があればよかった。全体的には、初めてさわるものも多く、とても勉強になったよい講座でした。