1月13日「地方のデジタル化政策視察」のため金子総務大臣が訪れたAitosa株式会社(四国電力などが設立)。総務大臣が視察を終えた後、当日の様子や事業の取り組みについて四国電力株式会社の佐伯取締役会長とAitosa株式会社の武田社長に伺いました。
Q:今日、視察の中で大臣とはどのようなことを話されたのでしょうか?
A:このAitosaを2020年に設立して、2021年の秋に第1作目の収穫を迎えています。今日は、Aitosaで進めているスマート農業への取り組み内容の説明や自動走行の薬剤噴霧ロボットのデモ運転を行いました。大臣には「素晴らしいですね」というお褒めの言葉やたくさんのご質問をいただき、今回のご視察は私たちの取り組みを知っていただく格好の機会でした。
Q:栽培は順調に推移している状況ですか?
A:現在はシシトウの生育状況は良くなっていますが、はじめからうまくいったわけではありません。10月~12月の収穫量は想定を大幅に下回っていました。収穫量の回復に向けて、常時モニタリングしているデータを分析することで原因を探ったところ、水分量が不足していることに気づき、改善しました。また、高知県の職員の皆さんにアドバイスをいただき、肥料を工夫するなどチャレンジを続け、今の良い状態になりました。2月は日射が増し、更に花もたくさんつくなど生育状況はさらに良くなっています。今後、しっかり樹づくり、整枝を行うとともに、収穫もやっていきたいと思います。
Q: 農業に進出することについてどのようにお考えですか?
A: 現在、地域の農業は耕作放棄地が増え、高齢化も進んでいます。これは、農家の後継者不足が最大の原因です。今の時代、昔ながらの農業をやっていたのでは後継者となる若い人たちは就農してくれません。やはり休みがとれて一定の収入があり、ある程度仕事も楽だという環境が整わなければならないと思います。四国電力は地域とともに歩む企業です。四国の基幹産業である農業においても、後継者となる若手の就農者を増やすための基盤づくりをしていきたいと思っています。
Q: 具体的にどのようなことをしていますか?
Aitosaでは2名の四電社員が働いています。農業経験が無く、一から農業の勉強をしてもらいました。資金調達や土地を借りるといったことも経験しながら進めている状況です。初心者でもここで勉強して、経験を積みながら一緒に育っていく。例えばUターンを希望している方が、やりたいことを探している時に農業を勧めることができればと思います。
また、スマート農業の技術開発に取り組み、その成果を地域に展開したいと思っています。農家の勘に頼っていた栽培ノウハウを見える化して継承できるようにしたり、農作業の省力化を図れるようにしたいと考えています。
Q: 農業をゼロから始め成果を出し始めていますが、今後どのように展開されますか?
A: 習得したノウハウや失敗談も含めて、スタッフがこれから地域の皆さんに成果を還元していきたいと思っています。私たちが農業に参入することで、地元のフィールドを侵食するのではなく、皆さんと一緒に地域農業を盛り上げていきたいと考えています。例えば、学校的な役割を担い、ここで圃場経営・栽培技術等の勉強をした方が地域で就農する。そういった支援や取り組みができればと思います。高知県は民間と行政がタイアップして農業を支援していくプラットフォームづくりが進んでいます。こうした中で、私たちの取り組みも一つのモデルとして、最終的には高知だけではなく、全国に展開していきたいです。
Q: 地元の生産者部会の皆さんとオリジナルの名産品を開発しているそうですね。
A: 南国市はシシトウの一大産地です。しかし、これまでシシトウを使った加工食品や名物はありませんでした。そこで、地元の生産者部会の方と一緒になってオリジナル商品を検討しています。若手の生産者の皆さんも今までと違った目線で何とか地元を盛り上げたいと頑張っています。
Q: 最後に今後の目標について教えて下さい。
A:まずは、シシトウを安定して収穫することです。そのうえで、現在開発しているAIの画像認識システムを使って、地域の農家の皆さんからの要望が多い、農産物のサイズや形などを選別する機器の開発について、高知県さん、JAさんに協力してもらいながら取り組んでいきます。農家の皆さんのニーズを捉え、地域の課題解決につながることをやっていきたいと思っています。
また、ハードルは高いですが、将来的には収穫ロボットの開発・実用化ができればと思っています。